ルールは2つ - 葉桜の季節に君を想うということ - [本●●●●●]
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欲望のまま毎日を謳歌する男、成瀬将虎。
自称“何でもやってやろう屋”の彼はある日、
友人の想い人から販売会社「蓬莱倶楽部」の調査依頼を引き受ける。
また、頃合を同じくして電車への投身自殺を試みた女、麻宮さくらは将虎に命を救われる。
ミステリアスな彼女への想いを募らせながら調査を進める将虎に
事件の真相が見せるものとは?
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1ページ目から奔放ぶりを遺憾なく発揮する主人公に、
"え、こんな話なの?"
と少々面食らってしまう本書は
その結構なページ数とは裏腹に軽やかな文体が読者を先へ先へと引き込む快作です。
魅力ある主人公に謎のある事件とヒロイン。
ハードボイルドに恋愛ドラマのようなエッセンスを持つ本作ですが、
それはあくまで本筋を飾る諸所の魅力であって、
2003年「このミステリーがすごい!」大賞にも選ばれる肝はやはりミステリなのです。
誰もが騙されるドン引きのラストは読み返し必死。
そんな本書を楽しむルールは2つ。
・ウェブでこの本のタイトルを検索しないこと
・この本を読んでいると誰にも喋らないこと
つまり、ネタバレ厳禁です。
結末まではどうぞその衝動を抑えられますように。
推理×3 - どちらかが彼女を殺した - [本●●●●●]
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妹が偽装殺害された。
第一発見者となった和泉康正は
犯人に直接手を下すべく独自の現場検証を行い、捜査班が真相へ行き着かない様いくつかの証拠を隠蔽する。
捜査線上に浮かんだ容疑者は二人。
妹の親友と元恋人。
そう、どちらかが彼女を殺した。
一方、捜査班の加賀は現場に隠蔽の痕跡を発見。
第一発見者の和泉を追い始める。
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この小説では犯人を追う和泉と、
その和泉を追う加賀、2つの推理が展開されます。
主人公は追う側でありながら
追われる側でもあるというオイシイ役回りです。
タイトル通り、作中には二人の容疑者が登場しますが、
"どちらが犯人か?"
は最後のページが終わっても明確に記載されていません。
作者が物語にプロットを配置しており、
読者自身が犯人を推理出来るようになっています。
犯人を知るためにはあなたの推理が必要なのです。
巻末には親切な解説が付いているので
自分の手腕が如何程だったか確認出来ます。
まぁ、回りくどい説明はこのくらいにして
つまるところ面白いですよ。